N響/高関:アラジン組曲、シベリウス2番(ブロム翁リベンジならず…)
2023-10-20



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2023.10.20 NHKホール (東京)
高関健 / NHK交響楽団
1. ニールセン: 「アラジン組曲」より
 祝祭行進曲/ヒンドゥーの踊り/イスファハンの市場/黒人の踊り
2. シベリウス: 交響曲第2番ニ長調

この演奏会、私に限らずチケットを買った人の大多数はブロムシュテット翁が目当てだったはずですが、10月に入ってから健康上の理由で来日キャンセル、Aプログラム(ブルックナー5番)は演奏会自体が中止とのこと。アンスネスがソリストで来日するBプログラムはともかくとして、このCプログラムも中止になるんじゃないかなと思っていたら、直前になってBプロが尾高忠明、Cプロが高関健が代役で指揮台に立つ(ので公演中止はせず払い戻しもなし)という連絡がメールに加えてわざわざ葉書でも届きました。シベ2が聴きたかったわけでもアラジン組曲が聴きたかったわけでもなくて、昨年聴きそびれてしまったブロムシュテットを今年は何とか見に行きたい一心だったので、正直なところがっかりというしかありませんでした。代役を引き受けてくださったマエストロたちへの敬意から、多分賞賛の声が多数派になるかと思われますので、私はあえて大人げなく小市民の本音ベースで書こうと思いました。例えが適切ではないのは承知の上ですが、例えばブリン・ターフェルが歌うオペラアリアの夜みたいな演奏会で、ターフェルが来日中止になりましたが日本人の代役立てて演奏会は行います公演中止ではないので払い戻しは一切ありません、と言われてモヤモヤしない人はいないのではないかと。

と自分勝手な愚痴をこぼしてはみましたが、指揮者、ソリストの不本意な交代は、演奏会通いをしている中ではままある話、想定範囲内と言わざるを得ません。諏訪内晶子の代役でヒラリー・ハーン、スクロヴァチェフスキの代役でロジェストヴェンスキー、マリア・ジョアン・ピレシュの代役でデジュー・ラーンキ、くらいに「文句ないだろ」的な交代は、やはり滅多に遭遇できないものですね。

N響のCプログラムは、コロナ以降、休憩なしの1時間程度の演奏時間になっています。会場入りがギリギリになってしまいましたが何とか間に合い、客席を見渡すと、やはり空席はちらほら見えましたが、来るのをやめた人は思ったほど多くない様子。1曲目の「アラジン組曲」は、交響曲第4番と第5番の間という円熟期に書かれた劇音楽で、学究的な東洋音楽、民族音楽ではなく雰囲気重視、あくまで異国風の味付けに留まっています。しかし作曲技法的には、「イスファハンの市場」では4群に分かれたオーケストラが別々の音楽を奏でるといった多調とポリリズムの試みがなされていて、交響曲第5番で他の楽器を無視したリズムで小太鼓を叩きまくるという前衛性に通じるものがあります(脱線しますが、同様の実験をやっているアイヴズの「宵闇のセントラルパーク」は1906年作曲、アラジン組曲の1919年よりも早かった!)。何でトライアングルとドラをわざわざ木管の両脇に配置するのだろうと最初思いましたが、なるほど、打楽器もグループ分けされていたのね、と納得。高関さんは多分初めて聴く人で、予備知識がなかったのですが、キャリアを調べてみるとシベリウス先駆者の渡邉暁雄の弟子で、デンマーク、ノルウェーなど北欧のオケへ客演も多かったようで、北欧系の音楽は得意分野かもしれません。この難しいポリモードの音楽を破綻することなく上手く捌いていました。


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[NHK交響楽団]

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