東京・春・音楽祭:ここでしか聴けないハイレベル、「さまよえるオランダ人」
2019-04-07


2019.04.07 東京文化会館 大ホール (東京)
東京・春・音楽祭 ワーグナー・シリーズ Vol. 10
David Afkham / NHK交響楽団
Rainer Kuchl (guest concertmaster)
Bryn Terfel (Der Hollander/bass-baritone)
Jens-Erik Aasbo (Daland/bass, Ain Angerの代役)
Ricarda Merbeth (Senta/soprano)
Peter Seiffert (Erik/tenor)
Aura Twarowska (Mary/mezzo-soprano)
Cosmin Ifrim (Der Steuermann Dalands/tenor)
東京オペラシンガーズ
中野一幸 (video)
1. ワーグナー: 歌劇《さまよえるオランダ人》(演奏会形式・字幕映像付)

昨年の「ローエングリン」は見送ってしまったので、2年ぶりの東京春祭ワーグナーです。満開のピークは過ぎましたが、まだ花見客で溢れかえる上野公園を横目に、久しぶりの文化会館へ。

まずは記録をたどってみると、「オランダ人」は2011年にロイヤルオペラで観て以来の2回目。ブリン・ターフェルも実はそんなに見てなくて、やはり2011年のロイヤルオペラ「トスカ」スカルピア役で聴いたのと、シモン・ボリバル響のロンドン公演アンコールでサプライズ登場したのを目の前かぶりつきで見たのが全て。他は初めての人ばかり、かと思いきや、舵手役テナーのコスミン・イフリムは、2006年に観たウィーン国立歌劇場ルーフテラスの「子供のためのオペラ」で、「バスティアンとバスティエンヌ」に出演していました。当時はまだ研究生くらいのキャリアだったでしょうか。

指揮者のダーヴィト・アフカムはドイツ出身、弱冠36歳の新進指揮者で、名前や顔立ちから推察される通り中東系ハーフ(お父さんがイラン人)とのこと。2008年のドナテッラ・フリック指揮者コンクールで優勝したのをきっかけに、ゲルギエフやハイティンクのアシスタントを務めながらキャリアを積み上げてきた人のようです。そういえば、2012年のドナテッラ・フリック指揮者コンクール最終選考をバービカンで見たことを懐かしく思い出しました。

この業界では全く「若造」のアフカム相手に、N響がナメた演奏をしないかとちょっと心配でしたが、今年もゲストコンマスに座ってくれたキュッヒルが睨みを利かせるこのシリーズでは、さすがにそんなことは杞憂でした。出だしの序曲から鋭く引き締まった弦、日本のオケとは思えない馬力の金管、メリハリの効いた演奏を最後まで集中力切らさず、相変わらずの高クオリティで聴かせてくれました。毎回書いてますが、今年もキュッヒル様様です。


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