ロイヤルオペラ:魔笛(最終日マチネ)
2011-02-26


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2011.02.26 Royal Opera House (London)
David Syrus / Orchestra of the Royal Opera House
David McVicar (Original Director)
Joseph Kaiser (Tamino), Kate Royal (Pamina)
Christopher Maltman (Papageno), Anna Devin (Papagena)
Franz-Josef Selig (Sarastro), Cornelia Gotz (Queen of the Night)
Elisabeth Meister (1st Lady), Kai Ruutel (2nd Lady)
Gaynor Keeble (3rd Lady), Peter Hoare (Monostatos)
Harry Nicoll (First Priest), Nigel Cliffe (Second Priest)
Stephen Rooke (1st Man in Armour), Lukas Jakobski (2nd Man in Armour)
Matthew Best (Speaker of the Temple)
1. Mozart: Die Zauberflote

今シーズンROHの「魔笛」最終日です。ブダペストで見た「魔笛」は全部ハンガリー語訳のバージョンだったので(ハンガリーでは翻訳オペラもまだけっこう上演されていました)、オリジナルドイツ語の上演を見るのは新婚旅行のウィーン以来、というのに後で気付きました。

Webでは指揮者はずっとサー・コリン・デイヴィスとなっていたのですが、ふたを開けてみるとあたり前のようにデヴィッド・サイラスになっています。プログラムを買って見てみると、何のことはない、19日までデイヴィス、22日以降はサイラスと最初からはっきり分かれていたようで、Webのミスリーディング情報に騙されてサー・コリン目当てにチケット買った人は怒るんじゃないかなあ。他の歌手の交代はちゃんと反映されていたのに指揮者だけ未変更で放置しておいたのは何となく意図的なものも感じますが、私自身にとってはデイヴィスさんちょっと苦手なので、むしろ好ましい交代でした。

満員御礼の会場は、マチネで魔笛ということもあり子供がいっぱい来ていました。日本人観光客の団体や、アジア系の客もいつもより多かったです。サイラスは初めて聴きますが、ロイヤルオペラのHead of Music(音楽部長?)とのことで、オケのメンバーとは和気あいあいと打ち解けているように見えました。出だしの一音からぴしっと決まって、丸みがあるが贅肉はない、引き締まった音できびきびとしたモーツァルトを聴かせてくれたので、サー・コリンだったら全然違ったろうなと思いつつ、私には満足でした。最終日だから気合いが入っていたのかもしれませんが、とにかくオケの音が抜群に良かったです。終演後、すぐに奏者のほうから指揮者を讃える拍手が起こり、サイラスも各パートトップの人と一通りにこやかに握手して回ってから舞台に上がりに行きましたから、演奏者側にとっても会心の出来だったのではないでしょうか。

歌手陣ではパパゲーノのモルトマンがいかにもという芸達者ぶりを見せてくれて、この日一番の拍手をもらっていました。次点はザラストロのゼーリヒ。貫禄のある顔で、声も低音までよく出ていて存在感は抜群。ただ容姿的にはザラストロというよりむしろフィガロという感じで、世俗を感じさせない品位がもっとあればなあと個人的には思いました。

パミーナのケイト・ロイヤルは背が高くてスタイルの良い美人でお姫様役にはうってつけでした。タミーノのヨーゼフ・カイザーはヘルデンテナーっぽいがっしりとした体格ですが、よく見るとこちらもなかなかハンサムボーイ。このカイザー&ロイヤルの「名前は最強」コンビは、二人ともしっかりとした声質の立派な歌唱で、容姿的にも申し分なく、なかなかの掘り出し物でした。

途中降板したジェシカ・プラットの代役、コルネリア・ゲッツは、MET等でも夜の女王を歌っているようですが、そのわりには声が出ていない。どちらの幕のアリアもけっこう苦しくて、オケの伴奏に相当助けられ、辛うじて破綻はしなかったという感じでした。あと、声が幼いのでパミーナとの台詞のやり取りでは完全に貫禄負け。代役で急きょ招聘されたというのを割り引いても、ちょっと看板に偽りありというのが否めません。


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