N響/沖澤まどか:実は苦手だったのか、フランス印象主義
2024-06-14



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2024.06.14 NHKホール (東京)
沖澤のどか / NHK交響楽団
Denis Kozhukhin (piano-2)
東京混声合唱団 (3)
1. イベール: 寄港地
2. ラヴェル: 左手のためのピアノ協奏曲
3. ドビュッシー: 夜想曲

コロナ禍以降、休憩なしの時間短縮演奏会だったN響の「Cプログラム」は、開始が遅くて料金も安かったので結構お気に入りだったのですが、来シーズンから通常モードに戻るためこれが最後のCプロです。ブザンソン指揮者コンクールの2019年度覇者、沖澤さんをまだ聴いたことがなかったし、最近多めになっている「念願の選曲を落穂拾いする演奏会」でもありますので、チケット買ってみました。

本日のプログラムは一言でまとめると「フランス印象主義」でありますが、年代的にも最初期の「夜想曲」から、もはや脱印象主義となったラヴェルの協奏曲まで、その歴史をコンパクトに辿る旅になっています。このあたりのフランス音楽は打楽器が多くカラフルで、絶対的に好みで間違いないのですが、記録を見るとそれほど多数聴いてないことに気づきました。イベールの代表作「寄港地」も実演は30年以上ぶりになります。前回は学生時代に初めてロンドンを訪れた際、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでデュトワ/モントリオール響を聴いた時以来です。

沖澤さんはアー写で見ると顔に圧があって、もっと男勝りな印象でしたが、実際は小柄で華奢、雰囲気も女性らしい柔らかさがありました。昨年から京都市交響楽団の常任指揮者になった先入観からか、確かに公家さんっぽい雰囲気があるなと思ったのですが、生まれ育ちは青森とのこと。指揮は至って真面目なスタイルで、動きに無駄がなくスムース、ちょっと悪く言うと遊びのスキが全くない感じです。フランス印象主義の管弦楽は楽器が多い割にローカロリーな曲が多く、ダイナミックレンジをいかに広く取れるかが一つの命綱だと思っていますが、その点はちゃんとオケを統率する力を持っていると思いました。終曲のリズムもキレとタメがバランス良く、緩急の変化も難なく振りこなせる感じです。ブザンソン優勝は単なる登竜門に過ぎず、その後いろんなマスタークラスを受講して研鑽を積んできただけあって、テクニックは確かなものだと感心しました。


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