SPCM(サマーレ、フィリップス、コールス、マッツーカ)の40年にも渡る綿密な研究努力には頭が下がる思いですが、この補筆版第4楽章は、学術的には興味深い取り組みである一方、音楽的には蛇足である、という批判はまだ払拭はできない、と正直感じました。今日あらためて思ったのは、第3楽章は、マーラー第9番の最終楽章をちょっと彷彿とさせる弦楽合奏で始まったりするものだから、長大な交響曲のフィナーレ・アダージョとしての風格を十分備えているようにも思えてしまうのだけれども、作曲者にはこれがフィナーレのつもりは全くなく、まだこの先の続きがある音楽だったんだな、ということでした。しかしこの補筆第4楽章がその延長線上にあるかと言えば、軸がちょっと違うように思えてなりません。一つの要因はむしろ、SPCM版の取り組みが学術的誠実さに基づいていて、補筆者の芸術的野心などは一切排除して(その姿勢は絶対に正しい)、ブルックナー本人が残した断片を丁寧に修復していった結果だからではないかと。作曲者の霊感を100%近く再現するにはまだまだ情報量が足りない(もしかするとそれは永遠に無理なのかも)のだと思います。今後、生成AIなどを駆使したアプローチが出てくるのでは(すでにやられている?)と思いますが、意外と最大公約数的な解はそのような「邪道」から出てくるのかもしれませんね。
ところで話は最初に戻り、日本の他のオケの定期演奏会はいったいどのくらい回数を重ねているのだろうか、確かN響は去年2000回をやってたなあなどと、ちょっと気になったので調べてみました。この2024年6月4日の時点で主要オケのサブスクリプションコンサートの最新ナンバリングは以下の通りです。
NHK交響楽団 2012回
東京都交響楽団 1000回
東京フィルハーモニー交響楽団 999回
日本フィルハーモニー交響楽団 760回
東京交響楽団 720回
京都市交響楽団 689回
読売日本交響楽団 672回(名曲シリーズ)
新日本フィルハーモニー交響楽団 656回
大阪フィルハーモニー交響楽団 578回
まあ、この数字が演奏会履歴の総数というわけでもありませんし、だから何だというオチは特にないのですが…。東フィルは、オペラやバレエの伴奏、各種カジュアルコンサート、テレビ出演などをこなしながらのこの数字は素直に凄いなと。
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