BBC響/ダウスゴー/ワン(vc):不滅のスタイリスト
2013-02-22


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2013.02.22 Barbican Hall (London)
Thomas Dausgaard / BBC Symphony Orchestra
Jian Wang (cello)
1. Prokofiev: Scythian Suite
2. Bloch: Schelomo
3. Nielsen: Symphony No. 4 'The Inextinguishable'

前日に引き続き、出張の疲れ取れず頭がボワワンとしていたので、あまり書けませんが、一応記録のために。

1曲目の「スキタイ組曲」はまだ「古典交響曲」を書く前の初期作品。「アラとロリー」という副題が付いてまして、実際そういう題のバレエとして最初作曲を始めたものの、ディアギレフに「春の祭典」の二番煎じだと言われて却下され、管弦楽組曲に書き直されたという経緯があるそうです。音楽的には春祭と似ているわけでは全然ありませんが。初めて聴くダウスゴー、非常にシャープな演奏に感心しましたが、第2曲以降は沈没してました、すいません。あとでBBC Radio 3の放送を聴くと、やっぱり速くてぴしっと統制の取れた演奏でしたね。

2曲目の「シェロモ」は「ヘブライ狂詩曲」とも呼ばれる、実質的にはチェロ協奏曲です。これは名前だけは昔から知っていましたが、初めて聴きました。ユダヤ人の作曲家は多数おりますが皆さん個性派で音楽はそれこそ多種多様、「ユダヤの音楽」と一括りに言ってもあまりピンと来るものがありません。旋律はベタな浪花節で、盛り上がった後の悲嘆ぶりにはちょっと自虐史観が入ってるかな、と思える曲でした。中国人チェリストのジャン・ワンは音がちょっと細いながらもよく歌う系のロマンチックな独奏でした。

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これが目当てだったメインのニールセン「不滅」は、これまた最初から快速で飛ばします。バーンスタインで聴き込んだ世代としてはちょっと急ぎ過ぎに感じますが、これが最近のスタイルみたいですね。ダウスゴーもデンマーク人ですから民族的共感に基づく演奏を期待するところですが、あまりそういった民族臭の感じられないモダンな印象の演奏でした。それとも、この「スタイリッシュ感」が実はデニッシュ民族の特徴なのかという気も。いつものごとく、BBC響は安定して上手かったです。一つ疑問は、セカンドティンパニを舞台左の第1ヴァイオリンの後ろに置いたのに対し、第1ティンパニは位置を変えず舞台中央後方のままにしていたことで、これは「第2ティンパニは舞台隅で第1の真反対側に置く」という作曲者の指定とは違うでしょう。ビジュアル面の効果からして全然違いますので、ここは通例通りステレオ配置にして欲しかったです。

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長身のダウスゴーさん。

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ティンパニのお二人。
[BBC交響楽団]

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