LSO/MTT/ウィリアムズ(p)/ワッツ(s):マーラー4番
2012-05-27


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2012.05.27 Barbican Hall (London)
Michael Tilson Thomas / London Symphony Orchestra
Ll〓r Williams (P-1), Elizabeth Watts (S-2)
1. Beethoven: Piano Concerto No. 3
2. Mahler: Symphony No. 4

今年1月以来のMTTです。今日は待望のマーラーですが、よく考えたらMTTのマーラーを聴くのは実演、レコード通じて初めてかも。

まずはベートーヴェン。ソリストのブロンフマンがウイルス感染のため数日前にキャンセルとなり、急きょ代役で呼ばれたのはウェールズ出身のリル・ウィリアムズ。外見はちょっとおどおどしていて線が細そうでしたが、粒がくっきりと揃ったごまかしのないピアノで好感が持てました。重厚感や深刻さを匂わせない自然体キャラで、ベートーヴェンよりはモーツァルトが向いているのでは、と思いました。オケのほうはイントロの弦のフレーズからして早速丁寧に作り込んだ演奏で、客演ながらコントロールの上手さに感心することしきり。昼間の疲れもあって(子供の運動会があったので)、後半はちょっと意識が遠のいてしまいました。

メインのマーラー4番をロンドンで聴くのは5度目、LSOでは2度目です。ちょっと慌てて入ってしまった冒頭の鈴はフルートにきっちり合わせてリタルダンドし、鈴だけインテンポで残すという「時間の歪み効果」はなかったです。先ほどのベートーヴェンに引き続き、マーラーもまたニュアンスの極地のような演奏で、事細かに音楽の表情を作り上げていきます。弦のアンサンブル、ヴァイオリンソロ、各管楽器のソロ、フルートユニゾンのピッチ、どこをとってもとにかくオケが上手い!今更ながら参りました。弦楽器の配置が、1月の「幻想」では低弦を右に置くモダン配置でしたが、今日は対向配置に変え、第1・第2ヴァイオリンの掛け合いを効果的に際立たせていました。

コンマスのシモヴィッチはいつもの散切り坊ちゃんカットから髪を切り、バックに流すような大人っぽい髪型に変えていました。この人の雄弁でのめり込み型のヴァイオリンは、LSOのコンマスの中でも最近一番のお気に入りです。いつもにこやかで、他の団員との会話も多く、若いけどメンバーに信頼されているのを感じます。変則チューニングの2楽章のソロは、あえて軋む音でガリガリと弾き込んでいたのがユニークでした。

3楽章は一転してロマンチックにとうとうと語りかけるような演奏。一しきり盛り上がった後のか細くつぶやくような、それでいて彫りの濃い弦を聴いて、一瞬バーンスタインの顔がMTTにかぶりました。

要の終楽章、ワッツのソプラノはあまり女っぽさがなく、少年のあどけなさを思わせる無垢な美声。細やかな表現が好ましい余裕たっぷりの歌唱で、この曲を今まで聴いた中でもかなり上位にランク付けしたい好演でした。初めて聴く人かと思いきや、チェックしたら2年前の「ヴァレーズ360°」で聴いていました。備忘録を読み返してやっと思い出しましたが、文章を残してなければすっかり忘れていたところです。

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[オーケストラ]
[ロンドン交響楽団]
[マーラー]

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