ロイヤルバレエ/ロホ/アコスタ:失楽園の「ロメオとジュリエット」
2012-01-19


2012.01.19 Royal Opera House (London)
The Royal Ballet
Pavel Sorokin / Orchestra of the Royal Opera House
Kenneth MacMillan (Choreography)
Tamara Rojo (Juliet), Carlos Acosta (Romeo)
Jose Martin (Mercutio), Gary Avis (Tybalt)
Kenta Kura (Benvolio), Johannes Stepanek (Paris)
Christopher Saunders (Lord Capulet), Elizabeth McGorian (Lady Capulet)
Thomas Whitehead (Escalus), Christina Arestis (Rosaline)
Genesia Rosato (Nurse), Tara-Brigitte Bhavnani (Lady Montague)
Alastair Marriott (Friar Laurence, Lord Montague)
1. Prokofiev: Romeo and Juliet

2年ぶりのロイヤルバレエ「ロメオとジュリエット」です。その間、バーミンガムロイヤル(マクミラン振付)、イングリッシュナショナル(ヌレエフ振付)、ペーターシャウフス(アシュトン振付)を見ているので、ロンドンではこれで5回目。我が家としては希少なリピーター演目です。娘は「え〓、また見るの〓?」と文句を言っておりましたが。

アコスタ、ロホの看板コンビを一度はフルバレエで見ておかねば、というのが今日の最大の目当てでしたが、さすがの人気だったのでいつも狙っているストールやサークルの至近距離最前列の席は一般Friend発売開始時点ですでになく、次善の策で今回はバルコニーボックスを選びました。しかし、オペラはともかくバレエの鑑賞では、やはり欲求不満がかなり溜まる席でした。元々死角が多い上、隣りのボックスの客が思いっきり身を乗り出すとこちらの視界がバッチリ遮られ、普通に座席に座っていると舞台がほとんど見えません。その人達だって、さらに隣りの客が身を乗り出しているのでそうするより他ないのです。立ったり座ったり身をよじったり、不自由な思いをしながら無理矢理見ていたので首がバキバキに疲れました。

上から見ていると動きがコンパクトに見えてしまうのと、オケの演奏がゆっくり目だったこともあって、全体的に落ち着いた舞台に思えました。アコスタはオペラグラスでアップで見るとさすがにオヤジ臭がして、さらにあのニヤケ顔は美少年役には決定的に向かない気がしますが(ファンの人すいません)、踊り一つ一つの安定感と回転の美しさは素人目にも抜群で、舞踏会の前に悪友三人で踊る仮面の踊りも、もちろん皆さんハイレベルなんですがその中でも一人さらに突出している感じでした。一方のロホも舞台栄えする美しさは半端なく、少女というよりもやっぱり大人の色気をムンムンと感じてしまいます。最初、動きはちょっと固めで、弾けるような躍動感はあまりなかった代わりに、揺れ動く心の表現は驚くほどきめ細かく、時間を追うごとにしなやかさが増していき、最後の死人の踊りでは正に全ての生命力が失われながらロメオに身を任せるという、変幻自在の演技力を見せてくれました。パ・ドゥ・ドゥは二人とも全く危なげない踊りで、無茶したりハラハラさせるところがなく、ローティーンの恋というより熟年の愛、「失楽園」の世界が目の前に広がりました。安全運転しているようにも見えましたが、その無謬感を非常に高いレベルで完成させているのが素直に凄かったです。二人とも身体能力的なピークはもうとっくに過ぎているのでしょうが、全盛期に生舞台を見ることができたら、さぞ想像を絶する体験だったろうなあと。

それにしても今日はオケがひどかった。金管がトチるのはいつものこととしても(いつもより多かったけど)、木管からヴァイオリンソロから、最後まで皆よれよれ。指揮者も見るからにオーラなし、やる気もほとんどゼロ。パッパーノが振るときはメンバー総入れ換えしてるのかと思うくらい、今までで一番ひどい出来のオケでした。君達は楽器の音の出し方を知っとるのか、本当にプロのミュージシャンなのかと、問いつめたい。ブダペストでもそうでしたが、劇場付きのオケは長く聴いているとダラけているほうが圧倒的に多いことに気付き、器楽派の私としてはしょっちゅうイライラさせられます。これも劇場の宿命なんでしょうかねえ…。

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