ワシーリエフ/オーシポワ/ペーター・シャウフス・バレエ:ロメオとジュリエット(アシュトン振付)
2011-07-15


禺画像]

2011.07.15 London Coliseum (London)
Peter Schaufuss Ballet
Graham Bond / The Orchestra of English National Ballet
Sir Frederick Ashton (Choreography)
Ivan Vasiliev (Romeo), Natalia Osipova (Juliet)
Alban Lendorf (Mercutio), Johan Christensen (Tybalt)
Robin Bernadet (Benvolio), Stefan Wise (Paris)
Tara Schaufuss (Livia), Yoko Takahashi (Nurse)
Zoe Ashe-Browne (Lady Capulet), Stephen Jefferies (Lord Capulet)
Peter Schaufuss (Frair Laurence), Benjamin Whitson (Escalus)
1. Prokofiev: Romeo and Juliet

デンマークのペーター・シャウフス・バレエ団が、ボリショイバレエの若きプリンシパルをゲストに迎えて、珍しいフレデリック・アシュトン版の「ロメオとジュリエット」をロンドンENOで上演する、という、主催者が誰だかよくわからない企画ですが、アシュトン振付がどんなものか興味があったのと、昨年のボリショイバレエ公演で見て凄かったオーシポワがジュリエットを踊るというので、期待してチケットを買ってみました。

このパフォーマンスは7/11〓17の1週間で9公演をこなし、12日のガラのみ端役でスペシャルゲスト(ウェイン・イーグリング等)が踊るほかは、1日2公演の日も含めて全て同じメンバーで強行するとのことでした(チケットを買う際、ENOに確認)。結局買ったのが15日という後半の日程だったので、それまでに無理な日程で主役の二人が怪我などしなければ良いが、と心配しましたが、とりあえず欠員なく出てきてくれたので一安心。しかし客入りは、上のほうは特に空席が目立っていましたので、ちょっと公演数多過ぎではなかったでしょうか。

開演前はアシュトンの大きなポートレイト写真がど真ん中にドンとつり下がっておりました。セットはいたってシンプルで、舞台奥に階段と、背景のモノクロ写真を映し出すスクリーン、両脇には若干の縦長のライティングがあるほかは、後半でベッドが1台出てくるくらいです。プログラムに載っていたアシュトン版の写真はもうちょっといろいろな大小道具が見えましたので、ツアーのためにセットを軽くしたんでしょうかね。

話の大筋はもちろん「ロメオとジュリエット」なのですが、このアシュトン版では曲を端折ってずいぶんと短く刈り込んでおり、登場人物が一通り出てきたら早速舞踏会に突入して、二人はいともあわただしく恋に落ちてしまいます。舞台上の人の数が少ないのでなおさら、何だか話の表面をなぞっただけのような薄っぺらい印象を受けてしまいました。その点、マクミラン版にしてもヌレエフ版にしても、どんなに大人数出てきても、各々への細部のこだわりが話に深みとリアリティを与えていた事実に、今更ながら気付きました。踊りの専門的なことはよくわかりませんが、アシュトンと言っても「リーズの結婚」や「シンデレラ」のような楽しさ、面白さがあまり感じられない振付でした。まあこちらは悲劇ですから違って当たり前でしょうが、それにしても、ジュリエットが手をバタバタとまるで白鳥のように動かす踊りはどうも違和感があり、ロメオとのコンビネーションは官能さに欠け、最後の死体の踊りもやけにあっさり。アシュトンほどの大御所の冠でも、この振付が流行らない理由はよくわかった気がしました。

主役のナタリア・オーシポワとイワン・ワシーリエフはどちらも昨年プリンシパルに昇格したばかりで、超人的身体能力系の若手スターです。二人とも、本来はもっとアクロバティックな踊りが本領なんでしょう。それでもオーシポワの一つ一つの完成された仕草、この上なく安定した足さばき、手のしなやかさ、完璧な回転は、さすがでした。ただ、前述のように白鳥のような動作と、あと、ショートカットヘアのジュリエットというのはちょっと違和感を禁じ得ませんでした。さらには、彼女の顔だちはちょっとマリス・ヤンソンスを連想させて、悲劇なのに何故かコミカルに見えてくるので困りました。(笑)


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