2011-02-23
切れ目なしに始まった終楽章は、まさに天上の音楽。この長丁場の終盤ですからもはや細かいことを気にする余力もなく、極上の響きにゆったりと身を任せつつ、もうすぐ終ってしまうベルリンフィルとの至福のひとときを名残惜しんでおりました。じれったくてなかなか盛り上がらない曲ですが、最後には4手で打ち込むティンパニの強打に導かれて壮大なクライマックスを迎えます。ラトルはまるでカラヤンのように瞑想しつつ腕をぶらぶら横に動かすだけで、もはや指揮棒で強引に音を引っ張り出さずとも自然な流れでここまで音楽を持っていけるのには、よっぽど良い関係にあるのだなあと、いたく感心しました。エンディングはふわっと力を抜くように終わり、誰もが残響の余韻を噛み締めていたところ、いちびったオヤジが突然のフライング・ブラヴォー、これはちょっといただけない。まあしかし、すぐに聴衆は総立ちとなって指揮者と奏者の健闘を称え、ラトルも団員もさすがにお疲れモードで拍手に応えておりました。
数年前までは、ラトルはベルリンフィルに行ってからかつてのキレがなくなった、というような悪口をよく見たものですが、どうしてどうして、今まで聴いた4回(ブダペストで1回、ロンドンで3回)のこのコンビの演奏はどれもこの上なく充実したものでした。今日の演奏も、全く自分の好みかと言われるとそうでもない部分がありますが、好みを超越してこれほど最上質の音楽に巡り会えることはそうそうありません。機会があれば、画竜点睛として是非とも本拠地ベルリンのフィルハーモニーでこのコンビを聴いてみたいものだと、野望がむらむらと湧いてきております…。
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