2024.11.26 東京オペラシティ コンサートホール (東京)
現田茂夫 / 武蔵野音楽大学管弦楽団
長嶋穂乃香 (mezzo-soprano-1)
斎藤茉奈 (organ-2)
1. ファリャ: バレエ音楽《三角帽子》全曲
2. サン=サーンス: 交響曲 第3番 ハ短調Op.78 「オルガン付き」
こちらも元々予定にはなかったのですが、選曲に惹かれて行ってみました。オペラシティのコンサートホールは今年2回目ですが、ここのパイプオルガンはまだ聴いたことなかったなあ、というのも理由の一つです。
武蔵野音大は学生時代に何人も知り合いがいたのですが、オケは初めて聴きます。学生オケはプロと比べるともちろん技術レベルは及ばないところがあるものの、しっかりと練習を積み重ねていて、概ね演奏が丁寧なので、技量よりも一期一会の熱意と勢いが感動を生むこともあるから面白いです。ましてやここは音楽を専攻する人たちの集まりなので、技術レベルもなかなかのものでした。
前半の「三角帽子」は、バランス的にはブラスがちょっと馬力不足は否めないものの、弦、木管、打楽器は文句のつけようがない立派な演奏。メゾソプラノは、舞台袖、コーラス席など通常の指揮者の横ではない離れた場所で歌うことが多いですが、今日は木管に紛れた場所に座ってらっしゃいました。在学中の学生さんですが、すでにプロでも通用するレベルのしっかりした歌唱でした。
指揮者の現田茂夫さんはよく名前を見る人ですが、聴くのは初めてです。2019年に亡くなった佐藤しのぶさんのwidowerですね。少し脱色した髪に耳ピアスのチャラい外見で、指揮台から身を乗り出して、コンミス嬢の譜面台の真上くらいまで顔を近づけるのがちょっとキモい。
メインのサン=サーンスのオルガニストは、元々はピアノ専攻で、大学院の音楽研究科に在学中とのこと。このホールのパイプオルガンは初めて聴きましたが、高音の抜けがよく、低音の濁りが少ない、まさに私好みのオルガンでした。この曲は誰がやっても演奏効果が上がる、よくできた曲だと思っていましたが、勢いがあれば押し通せる第2楽章はともかく、第1楽章は結構難しいんだなとあらためて感じました。特に弦のアンサンブルが未熟だと、わちゃわちゃとした感じになってしまってテンションが上がってこないのがちょっといただけないかなと思いましたが、一方で、あまりデリケートなコントロールがない分、普段は目立たない副次声部が際立ってしまうというご利益もあり、面白い演奏になりました。
プログラムを見ると、このオケは武蔵野音大の器楽専攻学生から選抜されており、合奏授業の一環として毎年管弦楽の大作に取り組んでいるそうなので、大作好きの私としては、今後もウォッチしたいと思います。
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