ブダペスト祝祭管/フィッシャー/クーパー(p):ドラは高いぞ、壊れてないか心配
2013-04-22


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2013.04.22 Royal Festival Hall (London)
Ivan Fischer / Budapest Festival Orchestra
Imogen Cooper (piano-2)
1. Ernst von Dohnanyi: Symphonic Minutes
2. Beethoven: Piano Concerto No. 1
3. Bartok: Concerto for Orchestra

約1年ぶりのブダペスト祝祭管。客席を見ると、見間違えることはない、内田光子さんが聴きにいらしてました。ロイヤルフェスティバルホールでは特によくお見かけしますね。

1曲目はドホナーニの「交響的瞬間」という5曲から成る短い組曲。ドホナーニはバルトーク、コダーイと同世代でありながら、ハンガリー民俗色を前面に出さず、ドイツ音楽の伝統に則った作風を頑なに守った人で、今では忘れられた作曲家とまでは言わないにしても、ハンガリー国内ですら、作品が取り上げられる機会はそう多くありません。この小曲も田舎風ではあるけれど全然ハンガリーっぽくないです。もうのっけから息のぴっちし合った弦アンサンブルに懐かしさで顔が緩みます。一年ぶりに聴いても変わらず音の引き締まった、統一感のあるオケです。かといって没個性ではなく、コーラングレのソロなど、どこの一流オケと比較しても見劣りせず、実に素晴らしい。今日は特に木管の人々が冴えていました。

イモジェン・クーパーは2005年にブダペスト祝祭管の福袋コンサート(曲目、ソリスト共に当日発表)で聴いたのが初めてで、次が昨年のプロムス、今日は3回目です。今までの感想で共通しているのは、運指はバランス良く完璧だけれども、四角四面の杓子定規で面白みのないピアノ、ということでした。今日も全体の印象は実はそれと大きく変わるものではないのですが、決して力まず、おおよそベートーヴェンらしくない不思議な透明感を持った、まるでドビュッシーのような演奏だったので、意外さは大いにありました。フィッシャーはいつものごとく楽器配置で仕掛けを少々。オーボエが第1ヴァイオリン、クラリネットが第2ヴァイオリン、フルートとファゴットはチェロに混ざって、でもさすがにもう手慣れたもので、皆さん何の違和感もなく淡々と演奏していました。ティンパニは小型の旧式で、ホルンとトランペットもピストンのないバロック式の楽器に持ち替えていましたが、その分音程が危うくなる瞬間もちらほら。まあ全てを含めて想定内なんでしょう。

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メインのオケコンは、ブダペスト祝祭管のCDは持っていますが、生では初めてです。ブダペストの定期演奏会では意外とバルトークを取り上げてくれないので、ツアーがらみのときだけチャンスがありました。この曲を得意としていたショルティが設立に関わっていただけあって、まさに「第一人者」としての自覚と自信に溢れる、プロ中のプロの演奏でした。トロンボーン奏者が首にコルセットを巻いていて(ムチウチでもやっちゃったんでしょうか)体調が万全ではなかったのか、バランスが悪いと思うところがいくつかありましたし、第4楽章では演奏中にドラがガッシャーンと倒れるというハプニングもありましたが、それらを除けば、冴え渡る木管、馬力ある金管、芯の太い弦、肩を揺すってノリノリのティンパニ、全てを知り尽くした指揮者、皆が一体となって、「ハンガリー人の自分らにしかできない完璧な演奏」を立派に具現していました。ここはどうだった、ここはああだったといちいちピックアップするのももどかしい、とことん細部に息の届いたフィッシャー節でした。


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