2012.12.24 Hungarian State Opera House (Budapest)
Vaszilij Vajnonen (choreography, libretto after Hoffmann)
Gusztav Olah (set & costume design), Andras Deri (conductor)
Adrienn Pap (Princess Maria), Denys Cherevychko (Prince Nutcracker)
Blanka Katona (Marika/child Maria), Gyula Sarkozi (child Nutcracker)
Csaba Solti (Drosselmeier), Jurij Kekalo (Mouse King)
1. Tchaikovsky: The Nutcracker
2004年から年末には「くるみ割り人形」を見にいくのを家族の恒例行事としておりますが、今年はクリスマス休暇旅行のおり、久しぶりにハンガリー国立バレエを見ることにしました。ここの演出はワイノーネン振付けの初版がベースで、主人公の少女の名はクララではなくマリア。にわか勉強によると、ドイツ人であるホフマンの原作では少女マリーが両親からもらう人形の名前がクララという設定だったのですが、初演のプティパ/イワーノフ版では少女の名前がクララに変えられており、ロイヤルバレエのピーター・ライト版などではこれを踏襲しています。一方のワイノーネン版では原作にならい少女の名はロシア語でマーシャに戻され、ハンガリー語ではマリアとなるわけです。また、イワーノフ版では他の子供と同様少女クララは子役が踊り、踊りの主役はあくまで第2幕に登場するお菓子の国の王子・王女であるのに対し、通常のワイノーネン版は主人公マーシャを最初から大人のダンサーが演じ、くるみ割り人形の王子と共におもちゃの国の王子・王女として迎えられるのが特徴でありながら、このワイノーネン初版では第1幕で子役ダンサーがマーシャとくるみ割り人形の王子を踊り、夢の世界に来たところから大人のダンサーに入れ替わります(ここのトリックが見所ですが)。最後は夢から覚めて、再び子役のマーシャがベッドで目を覚まし傍らのくるみ割り人形を抱きしめるところで幕となる、いわゆる「夢オチ」。私は最初に見たのがこのワイノーネン初版なので、「くるみ割り人形」というのは夢オチが基本だと擦り込まれてしまっておりましたが、原作はそんな単純ではないらしいし、バレエも演出によってお菓子の国で大団円を迎えておしまいというのもあれば、ライト版は最初から大人のダンサーが少女クララを踊り(他の子役と一緒に大人が子供のフリをして踊るのが、私がライト版に最も違和感を感じるところです)、お菓子の国ではただ見てるだけじゃなくて各国の踊りを一緒に踊ったり(昔のロイヤルバレエDVDを見ると一緒に踊るのはないので、近年付け加えられた演出だと思いますが)したあとに、最後は呪いの解けたくるみ割り人形(実はドロッセルマイヤーの息子)と一緒に現実の世界に戻る、というユニークな展開になっていて、本当に様々なパターンがあるようです。あとは細かいことですが、このハンガリー国立バレエの演出では元々の第1幕がパーティーが引けて夜になるところで分割されて休憩が入るので、全部で3幕になってます。
口裂け女みたいなアゴがちょっと気持ち悪い、ハンガリーのくるみ割り人形。
6年ぶりに見るこの「くるみ割り人形」は、ただただ懐かしかったです。極めてオーソドックスな演出に素朴な振付けは古き良き時代の絵本のようで、まさに子供に見せたいバレエでした。第1幕で開けられる子供たちへのプレゼント人形は、アルルカン、バレリーナ、ムーア人。ロイヤルバレエではアルルカン、コロンビーヌ、男女の兵隊ですが、やっぱり最後は土人がくるくる回って子供が興奮するのでなきゃー物足りない、と思ってしまいます。昨今では自主規制が働いていろいろと難しいのかもしれませんが。相変わらず子役で出てくる女の子は皆人形のようにかわいらしい白人のお嬢さんばかりで、見惚れてしまいます。
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