コンセルトヘボウ管/ブロッホ/ハルテロス(s):悪魔の夢、死と変容
2012-10-11


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2012.10.11 Concertgebouw (Amsterdam)
Alexandre Bloch / Royal Concertgebouw Orchestra, Amsterdam
Anja Harteros (S-2)
1. Johan Wagenaar: Overture 'De getemde feeks' (The taming of a shrew)
2. Richard Strauss: Songs
 1) Allerseelen
 2) Die heiligen drei Konige aus Morgenland
 3) Waldseligkeit
 4) Wiegenlied
 5) Morgen!
 6) Zueignung
3. Jorg Widmann: Teufel Amor, a Symphonic Hymn after Schiller
4. Richard Strauss: Tod und Verklarung

ついについに、念願のコンセルトヘボウに初見参です。RCOはロンドンとブダペストで過去に5度聴いていますが、やはり本拠地で聴けていなかったのが長年の心残りでした。

今回は直前になってヤンソンスが病気のため降板、代役に抜擢されたのが、なんの偶然か、先日見に行ったドナテッラ・フリック指揮者コンクールで優勝したばかりのアレクサンドル・ブロッホ君でした。このはっきり言ってドマイナーなプログラムを変更無しで、短期間でモノにしなくてはならないのですから、よくぞ受けたと思います。そのアグレッシブ姿勢に拍手。聴衆も温かい人が多いのか、指揮者変更にもかかわらずほぼ満員に近い入りでした。

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初めて中に入るコンセルトヘボウは、ウィーン楽友協会と同じく反響板無しの靴箱型ホール。ここの特徴はステージがやたらと高い位置にあることと、指揮者の花道がコーラス席の間を通る階段になっていることです。私が好んで買う最前列ど真ん中などという席は首が疲れる上に指揮者の足下くらいしか見えない悪席ということをあらかじめ聞いていたので、今回はバルコニーの席にしました。余談ですがここは歴史的建造物にもかかわらず、トイレは新しく奇麗でした。ロンドンのホール、特にバービカンは是非とも見習って欲しいものです。

1曲目は名前も知らなかったオランダのロマン派作曲家ワーヘナールの、序曲「じゃじゃ馬ならし」。当然シェークスピアを題材にしているわけですが、ロマン派バリバリの明るい曲でした。ブロッホはこのマイナー曲を暗譜で指揮。暗譜が必ずしもえらいわけではないですが、勉強熱心な姿勢は評価できます。棒振りは、気負いが勝っているのかちょっとアクセクしすぎてやり過ぎの感がないでもありません。

続いて、ロンドンではキャンセル魔として知られているアーニャ・ハルテロスのリヒャルト・シュトラウス歌曲集。定番の「4つの最後の歌」かなと思っていたら、全然知らない曲ばかりでした。ハルテロスはブロッホよりも長身で貫禄があり、あまり指揮や伴奏を気にすることなく、自分の世界に没頭するような入り込み歌唱でした。声量は抜群でしたが時々音が怪しく、ビブラートかかり過ぎの歌は正直私の好みではありませんでした。ミドルからスローテンポばかりの歌曲が連続すると、昼間の仕事疲れもあって、つい眠気が…。どうもピンと来なかったので、見栄えが活かせるオペラの舞台で見てみたいものです。

元々はここで休憩が入るはずでしたが、指揮者変更のついでに、何故だかわかりませんが休憩の位置が歌曲選集の後からその次の曲の後に変更になっていました。次のヴィトマン「悪魔の夢」は昨年完成し、今年パッパーノ/ウィーンフィルで初演されたばかりのホヤホヤな新曲。ショートピースかと思いきや、30分以上かかる長丁場の曲でした。冒頭はオケの低音限界を試すかのようなチューバが地鳴りのように響き、脅かしありーの、特殊奏法ありーの、微分音ありーの、何だかやたらといろいろ詰め込んだようなエネルギッシュな曲でした。こんな複雑な新作まで振らされて、アレックス君の対応能力もたいしたもんです。ヤンソンスだったらここまで細かく振ってないだろうから、オケとしてはアレックス君が代役で、やりやすかったかも。


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