2012プロムス39:今年の超大作その1、ベルリオーズ「レクイエム」
2012-08-11


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2012.08.11 Royal Albert Hall (London)
BBC Proms 2012 PROM 39
Thierry Fischer / BBC National Orchestra of Wales
Toby Spence (T)
BBC National Chorus of Wales
Huddersfield Choral Society
London Symphony Chorus
1. Berlioz: Requiem (Grande messe des morts)

2週間ぶりのプロムス。一昨年のマーラー「千人の交響曲」、昨年のブライアン「ゴシック交響曲」のように、普段はなかなか聴く機会がない超大作をやってくれるのもプロムスというお祭りならではですが、今年はその「大作枠」にベルリオーズ「レクイエム」とシェーンベルク「グレの歌」がラインナップされています。

ベルリオーズの「レクイエム」は打楽器マニアとして一度は生で見たかった曲でした。今日のBBCウェールズ・ナショナル管はスコアにほぼ忠実に、ティンパニ16台(奏者10人)、シンバル8組、大太鼓2台、銅鑼2枚がずらっと並んだ様子はただただ圧巻でした。打楽器に限らず管楽器もホルン12、ファゴット8、クラリネットとフルート各4、オーボエとコールアングレ各2に加え、4群に分かれたバンダが合計でトランペット、トロンボーン各16、チューバ6というとんでもない大編成。さらに100人の弦楽器と、コーラス席の上のほうまでぎっしりと詰まった混声合唱が加わります。バンダは会場の四隅ではなくステージ上で四隅に配置されていましたが、これは多分、このホールの音響だとバンダをバルコニーに配置したら収拾がつかなくなるのを嫌ってのことではないかと想像します。

実はこの曲CDを持っておらず、先日のセントポール寺院でのLSO演奏会をBBC Radio 3で聴いたくらいなので細かいところはようわかりませんでしたが、やはり名物の10人のティンパニ・ロールによる和音自由自在は、打楽器は聴きなれたはずの自分でさえものすごく新鮮に響き、音量のみならず視覚的効果も抜群でした。ティエリー・フィッシャーは始めて見る指揮者でしたが、八面六臂の棒振りで超大編成オケをスポーティーに統率していました。あまり柔らかさを感じない、硬質で男らしい音でした。レクイエムには似つかわしくないかもしれませんが、この曲には合っていたような。コーラスも、すごく上手かったわけではありませんが、熱のこもった迫力はありました。一方、終盤だけ出番のあるテナーのトビー・スペンス君は、歌い出しこそ「おっ」と思いましたが、高音が裏返り低音もタンがからんだように濁った苦しい展開に終始し、出番まで長く待ちくたびれたのか、出来は今一つでした。

それにしてもこの長大な曲は、最後は終りそうで終らず、引っ張り過ぎです。演奏は最後まで集中力が切れなかったと思いますが、禅問答のような展開は正直退屈です。しかしまあ、内容の派手さではさらに上を行くヴェルディのレクイエムより、私はベルリオーズのほうが好きだなー。

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横一列に並んだ16台のティンパニが圧巻です。

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声援に応えるトビー君。
[オーケストラ]
[BBC PROMS]

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