ロイヤルバレエ:プリンシパルのいない「パゴダの王子」
2012-06-21


2012.06.21 Royal Opera House (London)
Royal Ballet: The Prince of the Pagodas
Barry Wordsworth / Orchestra of the Royal Opera House
Kenneth MacMillan (Choreography), Colin Thubron after John Cranko (Scenario)
Beatriz Stix-Brunell (Princess Rose), Itziar Mendizabal (Princess Epine)
Ryoichi Hirano (The Prince), Gary Avis (The Emperor)
James Hay (The Fool), Thomas Whitehead (Emperor's Counsellor)
Andrej Uspenski (King of the North), Valeri Hristov (King of the East)
Jonathan Watkins (King of the West), Brian Maloney (King of the South)
1. Britten: The Prince of the Pagodas

ブリテン作曲のバレエ「パゴダの王子」は彼の作曲キャリアの中でちょうど折り返し点あたりに位置する曲ですが、これ以降に作曲した重要な作品と言えば「真夏の夜の夢」と「戦争レクイエム」くらいですので、成熟度ではまさにスタイル完成の境地にあると思います。来年のブリテン生誕100年を目前に、16年ぶりにロイヤルバレエでリバイバルされたプロダクションというくらいですからめったに見る機会はないバレエですが、うちにはDVDがあったりします。以前買った「マクミラン・3DVDパック」みたいなセットにロメジュリ、マノンと共に含まれていまして、てっきりマクミランの代表作の一つと思っておりましたら…。16年も上演されなかったのは故なきことではないのだなあと、実演を見てあらためて思いました。

まず言っとかなければならないのは、今日のキャストは相当二転三転しました。発表当初はカスバートソン、ヤノウスキー、ペネファーザーという取り合わせでしたが怪我のために結局全員降板、今年大抜擢でアリスを踊ったスティックス=ブリュネルがカスバートソンの代役とのことでしたが、5月末にラム、モレラ、ボネッリの組でキャストが落ち着いたのもつかの間、直前になってやっぱりスティックス=ブリュネル、メンディザバル、平野亮一の組に変更になりました。最後の変更は怪我のせいではないので、理由がよくわかりません。ともあれ、プリンシパルが一人もいないこのCキャストは(プリンシパルと名のつくのはキャラクターアーティストのエイヴィス唯一人)、ヌニェス・ロホ・キシュのAキャスト、ラム、モレラ、ボネッリのBキャストと比べてフレッシュではありますが、だいぶ格落ち感がしてしまうのは致し方ないところです。

このような事情のためどうしてもネガティブな先入観を持ちつつこのバレエを見ると、何とつまらない演目であることよ。あらすじは、こんな感じですか。とある国の王様が二人の娘に領土を分け与える際、妹ローズのほうを贔屓したのに姉エピーヌが怒って、妹の恋人である王子を呪いで山椒魚に変えてしまいます。姉は王様を隠居させて国を牛耳り、東西南北から四人の王をはべらせ、妹は従者(道化)と共に放浪の旅に出ます。妹は最果ての国で山椒魚になった王子と再会しますが、目隠しをしている間だけ王子は元の姿に戻ります。山椒魚と国に戻った妹は口づけで王子の呪いを解き、元の姿に戻った王子は道化の助けを借りつつ四人の王と姉を撃退し、国に平和がやってきてめでたしめでたし、皆で踊ってハッピーエンド、というお話です。


続きを読む

[バレエ]
[ロイヤル・オペラ・ハウス]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット