2012.02.18 Barbican Hall (London)
Alan Gilbert / New York Philharmonic
Lang Lang (P-2)
1. Lindberg: Feria
2. Bartok: Piano Concerto No. 2
3. Prokofiev: Symphony No. 5
NYPダブルヘッダーの後半戦は、ロンドンでも超人気のラン・ランをソリストに迎えてのバルトーク。聴きに行かないわけにはまいりません。娘は「ふたつも見るの〓?!」とぶーぶー文句をたれていましたが。
1曲目のリンドベルイは現在NYPのcomposer-in-residence(招聘作曲家とでも訳すんでしょうか)として契約しており、2年前の来英時もUK初演の曲を演奏していました。今日の「Feria」は「fair」の意のスペイン語ですが、2年前に感じた北欧の香りはほとんどなく、響きが金属的でスペインの風味もあまりない、ごった煮のしっちゃかめっちゃかな(失礼!)曲でした。5分くらいの曲かと思ったら意外と長く、20分くらい続いたので疲れました。リンドベルイさん、ツアーにも同行しているようで、最後は指揮者に呼ばれて舞台に出てきました。
さて待望のバルトーク。オケメンバーは大移動し、舞台に向かって右側に弦、左側に管とすっぱり分わかれて座りました。ラン・ランとバルトークはミスマッチにも見えますが、ちょうど5年前にもブダペストで同じ第2番を聴いたときは(オケはバレンボイム/ウィーンフィル)、クリアな音でリズミカルにミスタッチなく弾きまくるスタイルが意外とハマっているなと感じました。それにしてもラン・ラン、今やすっかり垢抜けて、ずいぶんとすました顔で涼しげに弾くようになってしまって、「顔芸の王子」はもはや卒業したんですね。テクニックはさらに凄みを増し、ノリノリで弾いてみたり、しっとりと歌ってみたり、極めて機械的なこの難曲を易々と手中に収めていました。第2楽章などは余裕で見得を切って、ワンフレーズごとに流した左手でポーズを決めていたのが悔しいほどサマになっていて、正にスターのパフォーマンス。大喝采に答えてアンコールはリストの「ラ・カンパネッラ」を弾いてくれましたが、これがまた尋常じゃない上手さで唖然としました。前に聴いた「ラ・カンパネッラ」よりもさらに難易度が高そうなギミック満載でしたので、別バージョンなのか、あるいは即興の「ラン・ラン・スペシャル」なのか。ともあれ、リストも当時はイケメンの比類なきピアノ・ヴィルトゥオーソとして多くの女性ファンを惹きつけていたそうですから、ラン・ランの目指すところは「現代のリスト」と称されることなんだろうかと、ふと思いました。
遠くてすいませんが、拍手に応えるラン・ラン。
メインのプロ5もこれまた大変良かったです。ここまで休んでいたホルントップのMyersさんも登場し、トランペットも非常に上手く、充実したブラスセクションは一抹のスキもありません。今日もバルコニー席で遠かったので弦はあまり届いてきませんでしたが、繊細な弱音は一昨日のマーラーよりもさらに際立っており、木管も揃って惚れ惚れするような艶やかな音色で、良いときのLSOと比較しても全く遜色ないハイレベルの演奏。影のあるゲルギーとはまた違う、ギルバートの明るく誠実な音楽作りも好感度高く、ストレートに心を打ちました。
アンコールは「キャンディード」序曲。これまたNYPのオハコで、中学生のころバーンスタイン指揮NYPの自作自演盤を飽きもせず熱狂的に繰り返し聴いていたのを思い出しました。私より若いギルバート氏(日本名はタケシだそうですね)、ネームバリューはまだまだなのでプレスに叩かれることも多々あるでしょうが、外野の雑音に惑わされずじっくりとキャリアを積んでいって欲しいと思います。
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