ロイヤルオペラ/パッパーノ:元旦から「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
2012-01-01


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2012.01.01 Royal Opera House (London)
Sir Antonio Pappano / Orchestra & Chorus of the Royal Opera House
Graham Vick (Director), Elaine Kidd (Revival Director)
Wolfgang Koch (Hans Sachs), Simon O'Neill (Walter von Stolzing)
Emma Bell (Eva), Peter Coleman-Wright (Sixtus Beckmesser)
Sir John Tomlinson (Veit Pogner), Heather Shipp (Magdalene)
Toby Spence (David), Colin Judson (Kunz Vogelgesang)
Nicholas Folwell (Konrad Nachtigall), Donald Maxwell (Fritz Kothner)
Jihoon Kim (Hermann Ortel), Martyn Hill (Balthazar Zorn)
Pablo Bemsch (Augustin Moser), Andrew Rees (Ulrich Eisslinger)
Jeremy White (Hans Foltz), Richard Wiegold (Hans Schwarz)
Robert Lloyd (Nightwatchman)
1. Wagner: Die Meistersinger Von Nurnberg

皆様、あけましておめでとうございます。

今年は正月早々ロイヤルオペラです。あいにくの雨模様でしたが、ホリデーシーズンにつき普段より日本人の姿を多く見かけました。開幕前、新年の挨拶とともに、ナイト役テナーのサイモン・オニールがひどい風邪をひいてしまったが、ロンドンで手に入る限りの抗生物質を飲んで快方に向かっているので、今日は何とか歌いますというアナウンス。パッパーノがナイトの称号を付与されることが発表されてから最初の演奏会でもあり、指揮者登場の際はオケメンバーもぴしっと直立、会場は温かい拍手に包まれました。

最近オペラではバルコニーボックス専門になっていましたが、今日は久々に右側ストールサークルの舞台寄りに座りました。が、これが失敗。100番以上の席番号には客を入れず、A列100〓111番は座席と床板が取っ払われて、眼下にティンパニ奏者が丸見えになってました。そのおかげでティンパニの音だけが突出してダイレクトに響いて来て、うるさいことこの上なし。天気のせいか、オケ全体も湿っぽくピットの底に溜まるような音で「あれっ」と拍子抜けしたのですが、輪をかけて全てをぶちこわしてくれる雑なティンパニには閉口するしかありませんでした。

幕が開くとティンパニの出番はめっきり減るので一安心。第1幕、確かにオニールは声が出ていないと言うわけではないにせよ、声に張りがなく声量も負けています。エーヴァ役のベルは表情は硬いものの声はよく出ていました。ザックス役のコッホは声質が軽く、あまりカリスマがありませんがこちらもまずまず無難な出だし。しかし何と言っても、第1幕を引っ張っていたのはダーヴィド役のトビー・スペンスとエーヴァのお父ちゃんポグナー役のトムリンソン卿でした。オニールの調子が悪い分トビー君の演技力が際立ち、歌も見かけからは想像つかない野太いテナーで、立派な歌唱でした。トムリンソンは先日聴いた「青ひげ公」のときと同様、いちいち音程を手探りするような歌い方が好きになれませんが、よく響く低周波は非常に心地よく説得力のあるものでした。

第2幕の夜の町は、お菓子の家のようなメルヘンチックな舞台です。こちらの耳が慣れてきたのか、あるいはパッパーノの熱のこもった指揮に湿気が飛んで重しが取れたのか、オケの音もずいぶん外に向かって出てくるようになってきました。ザックスの歌の比率がぐっと多くなり、コッホの調子も上がってきますが、あまり低音が利いてなくて身振り手振りが大きいのでザックスよりはフィガロというキャラクター。靴職人とはいえマイスターなんだから衣装をもうちょっと威厳のありそうなものにしてくれたら良かったのでは。これでは丁稚のダーヴィドよりもみすぼらしいです。ベックメッサーは普通に笑わしてくれましたが、トーマス・アレンのように小芝居の細かさがもっと欲しかったところ。最後のドタバタ騒動になるところでは、天井から人が落ちてきそうになる演出が意表をついてて面白かったです。


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