ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管/シャイー:イタリアの千両役者
2010-12-02


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2010.12.02 Barbican Hall (London)
Riccardo Chailly / Gewandhausorchester Leipzig
Arcadi Volodos (P-1)
1. Tchaikovsky: Piano Concerto No. 1 (original version)
2. Tchaikovsky: Francesca da Rimini
3. Respighi: Pines of Rome

今日は娘がディズニーの「Fantasia 2000」の中でも特にお気に入りの「ローマの松」があるので、家族で聴きに出かけました。昨日に続く寒波で、雪と寒さのため交通も一部マヒしており、そのせいか空席が目立ちました。

ゲヴァントハウス管は、一度は聴いてみたかったオケの筆頭でした。以前ライプツィヒに行ったとき、ホールの外観だけは見たのですが。また、自分でも何故だかわかりませんが、シャイーの演奏は今までCDでもほとんど聴いたことがなかったかも。ということで今日は初ものづくしでエキサイティングです。

まずはチャイコフスキーの有名すぎるピアノ協奏曲から。家族は好きですが、私はそんなに好きな曲じゃありません。今日は珍しい原典版での演奏とのことでしたが、この曲に精通してるわけではなくスコアも持っていない私には、通常の版との違いはよくわかりませんでした。プログラムに書いてあったのは、冒頭のピアノの和音強打がアルペジオになっているのが一番特徴的だそうです。しかしヴォロドスはそこを際立たせるような弾き方はせず、イントロはサラリと流していましたので、原典版と言われなければ「柔らかい弾き方をしてましたね」という感想で終わっていたでしょう。その後も時々違和感を感じる箇所は確かにありましたが、通常版と大きく変わったと思えるところはなく、このツアーで原典版をあえて演奏する意図は全く謎のままでした。ソリストも指揮者も、実際原典版だからどうとかいう意識はなかったように思います。

ロシア出身のヴォロドスは超絶技巧派として売り出し中の若手ピアニストだそうです。実際、ちょっと軽めのコロラトゥーラのようなピアノで、コロコロと指がたいへんよく回ります。難曲度の高い曲なので、私はこの曲をミスタッチなしで弾く人には巡り会ったことがありませんが、少なくとも今日までは、と付け加えることになりそうです。ヴォロドスは私が聴く限りほとんどミスなく、シャイーのリードする繊細なオケ伴奏とほどよい一体感を呈しながら、危なげなくずいずいと突き進むピアノでした。看板に偽りなしです。こういう人は自分の技術をとことん見せつけるアンコールピースを必ず持っているはず、と期待しましたが、残念ながらアンコールはやってくれませんでした。

次の「フランチェスカ・ダ・リミニ」は、CD、iTunesでもたいがいスキップしてしまう、正直苦手な曲です。シャイーはここでも繊細なコントロールを見せてくれました。弦はつや消しをかけたようなハスキーな音色。渋いですがドイツ的な重厚さはあまり感じませんでした。木管は全体的に柔らかくまとまったアンサンブルで、特にクラリネットが非常に良い音色です。ティンパニはトレモロはいただけませんが単打は腰が入ったなかなかいい音を出しています。弦と木管の柔らかさに比べてちょっと金管が固いような。音に濁りがあり、音量が十分ではありません。このオケはどうも金管が弱点のようです。次の曲を乗り切れるのか、ふと不安がよぎります。


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[オーケストラ]

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